東京家庭裁判所 昭和28年(家イ)937号 審判 1953年4月24日
国籍
フランス
住所
米国ニユヨーク州ニユーヨーク市○○
居所
東京都○○区○○町○○番地
申立人
アントワネツト・ピカツト(仮名)
(代理人 吉田秀夫(仮名) 外二名)
国籍
アメリカ
住所
本国ニユーヨーク州ニユーヨーク市○○○○○
相手方
ウイリアムピカツト(仮名)
右当事者間の昭和二十八年(家イ)第九三七号夫婦関係調整について当裁判所は、申立書及び一九五三年四月二十二日当裁判所審判廷で行われた申立人及び相手方の各陳述と証人江上一郎の証言に基いてその申立が、夫の本国法である米国ニユーヨーク州の離婚法及び日本民法によつて理由あるものと認め次の通り審判する。
主文
申立人は相手方と離婚する。
申立の趣旨
一、申立人アントワネツト・ピカツトと相手方ウイリアム・ピカツトとを離婚せしめるために調停を求めます。
申立の実情
一、申立人は一九一八年フランス国に於いてフランス人の両親間に出生し、フランス国籍を有するものである。
二、相手方のウイリアム・ピカツトは米国市民であつて肩書地米国紐育市に住所を有し○○○○○社に勤務中であるが一九四六年(昭和廿一年)同社の極東支配人として米国より日本に入国して以来数度帰米した外は日本に居住し、就中一九五一年(昭和廿六年)七月十五日最後に日本に入国以後は引続き現在迄東京の肩書地に居住中である。
申立人と相手方とは一九四六年(昭和廿一年)五月三日フランス国パリ市に於いて適法に婚姻し申立人は相手方の妻となつたが、申立人は夫たる相手方の国籍(米国籍)を取得しないため依然フランスの国籍を有している。
而して申立人は婚姻後相手方に随伴して、日本に入国し相手方と共に其の肩書地に居住同棲している。
四、相手方は日本に於いて前記の居所に、申立人と同棲中、一九五二年(昭和廿七年)十二月大阪方面に旅行し大阪市の○○○○○ホテルに同月九日より十二日迄滞在したが、その間相手方は右ホテル内に他の某女を同伴し同女と数回にわたり姦通行為に及んだ事実が判明した。
五、申立人は夫たる相手方の右の如き姦通行為を堪え忍ぶことが出来ず、且つ今後かかる行為をなした相手方と夫婦関係を継続することが出来ないから相手方との離婚を決意した。
六、而して相手方の姦通行為は、日本の法例第十六条により準拠法として適用される相手方(夫)の本国法である米国紐育州法の規定する離婚原因に該当すると同時に、日本民法第七百七十条第一項第一号にも該当するので、日本裁判所である貴庁に、相手方を御呼出しの上申立趣旨記載の如き御調停を仰ぎ度く本申立に及びます。